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土木製品特集

土木製品特集

ジオスターの主な土木製品について
ジオウェアカルバート

ジオウェアカルバートは、側壁部分に耐震性能を確認した継手を有する分割式大断面プレキャストカルバート工法です。ジオウェアカルバートの使用により、耐震性能が求められる大型カルバートのプレキャスト化が可能となり、現場工期の短縮や省人化、品質の確保を図ることができます。道路のアンダーパスをはじめとして、道路や鉄道の本線トンネル、水路トンネル等、幅広い用途での使用により、建設現場の省力化に大きく貢献することが期待できます。

モジュラーチ工法

モジュラーチ工法とは、大型プレキャストコンクリート部材を用いた多分割式2ヒンジアーチカルバートです。1994年にフランスより技術導入したモジュラーチ工法は、日本の各種基準に適応するよう改良を加えるとともに、本工法の設計方法・施工技術、耐震性能についても公的機関で委託研究を行い、安全性の確証が得られています。現在、施工実績は全世界で7,500件を超え、うち日本での施工実績は464件、施工延長23kmとなっています。

高強度PRC版

高強度PRC版は、高品質・高耐久の舗装版であり、工場製作のRCプレキャスト版を現場にて敷設するコンクリート舗装工法です。空港やコンテナヤードのように交通荷重が特に大きい場合や軟弱地盤上に建設される舗装に適しています。プレキャスト版を使用するため急速施工が可能で、管理の行き届いた工場で高強度コンクリートを使用して製作されるため、高品質・高耐久性であることから、工期短縮やライフサイクルコストの低減に大きく貢献します。

高強度コンクリート矢板

高強度コンクリート矢板は、本設の土留めとして、水路、道路擁壁、河川護岸等広い用途で使用されている、高強度コンクリート製の矢板です。施工も通常のバイブロ工法から圧入工法、建込み工法等現場条件に合わせて様々な工法に対応しています。

土木分野におけるプレキャストコンクリート製品について
河川分野

河川分野では、高強度コンクリート矢板、CTGスラブ、CT-Pスラブ等が使用されます。
近年、高強度コンクリート矢板は、堤防を流木や激流に伴う浸食から保護する河川護岸、港湾の岸壁、用水路改修等における永久構造物として、ほかのコンクリート製品に代わって使用されています。その他、背割堤、防波護岸、導流堤や多目的形護岸等にも使われ、用途は広範囲にわたっています。

高強度コンクリート矢板による河川護岸(1)
高強度コンクリート矢板による河川護岸(2)

CTGスラブ、CT-Pスラブは、簡易橋梁、水路蓋および桟橋の整備資材として、全国で採用されています。工期の短縮を可能にするほか、優れた耐久性を有する等の特徴があります。これらの資材は、最近では駐車場・地下貯留や一般建築物の床材等、新しい分野において様々な設計・施工条件をクリアする製品として幅広く活躍しております。

CTGスラブによる簡易橋梁
CTGスラブを用いた地下貯留
道路分野

道路分野で使用されるプレキャストコンクリート製品を使用した大断面カルバートには、モジュラーチ工法とジオウェアカルバートがあります。

モジュラーチ工法とは、Module(独立して独自の機能を果たすように設計された部分)とArch(アーチ)を組み合わせた言葉であり、いくつかの部材で組み立てられたアーチという意味です。モジュラーチは多分割式2ヒンジアーチカルバートで、アーチ特有の形状と美しさ、合理性を備えており、大型プレキャストコンクリート部材を用いているのが特徴です。

1982年(昭和57年)にフランスのマティエール社によって考案・実用化されたこの大断面カルバートは、スペイン、ポルトガル、デンマークほか世界中で活用されており、日本では1994年に技術導入されました。

モジュラーチ工法を用いた道路トンネル(1)
モジュラーチ工法を用いた道路トンネル(2)

ジオウェアカルバートは、プレキャストコンクリート部材の合理的な分割方法と耐震性能を確認した継手構造により、製作、運搬上の課題であった軽量化の問題を解消した大断面プレキャストカルバートです。ジオウェアカルバートでは、底版の一部に現場打ちコンクリートを使用することで、これまで不利に考えられていた経済性についても、大きく改善しています。

その他、現場打ちカルバートでは解決することが難しい仮設費の低減、労働力の低減、工期短縮、高品質の確保といった観点からも大きく期待できる製品です。

ジオウェアカルバートによる道路アンダーパス(1)
ジオウェアカルバートによる道路アンダーパス(2)
リニューアル分野(舗装)

一般に、空港基本施設のエプロンにはコンクリート舗装が採用されていますが、近年の航空機の大型化や
運行回数の増加により、エプロンと滑走路を結ぶ誘導路においてもコンクリート舗装を採用せざるを得ない状況になっています。

これまで、コンクリート舗装の施工性を確保する手段としては、PCプレキャスト版舗装がありました。しかし、目地構造や工費面での課題があり、これを解決するために、強度を高めたRCプレキャスト版を用いるとともに、コッター式継手による目地構造を採用したRCプレキャスト版舗装、高強度PRC版が開発されました。

これまでに、高強度PRC版は、空港におけるコンクリート舗装として、数多く採用されています。

高強度PRC版による空港内のコンクリート舗装(1)
高強度PRC版による空港内のコンクリート舗装(2)
リニューアル分野(山岳トンネル)

PCL工法(Precast Concrete Lining Method)は、トンネルの内装、仕上げ、補修または補強を目的としたコンクリート版を用いたライニング工法の設計、製造施工方法を総称したものです。
掘削したトンネルや既設トンネルからの漏水を防ぎ、換気扇や照明の効率を向上させ、吹付コンクリートや既設覆工の剥離事故を防止することができます。

PCL工法による山岳トンネルのリニューアル(1)
PCL工法による山岳トンネルのリニューアル(2)
リニューアル分野(河川)

近年、都市部等における河川・運河では、水辺に人々の憩いの場を提供する環境の開発が行われ、親水公園や護岸テラスが設けられるようになりました。工事においては、船上での作業が多くなり、護岸構造物を構築する際には、型枠の設置や取り外しに水中工事を伴うことから、安全上の問題や工期の問題等が生じています。

プレキャストコンクリート埋設型枠を用いることで、水中作業を軽減し、施工の省力化や環境にも配慮した製品が、オールガードパネル(AGP)です。

オールガードパネル
プレキャストコンクリート製品におけるジオスターの歴史

当社技術の発祥は、昭和15年(1940)に東京大学教授・吉田徳次郎博士が発表された「高強度コンクリート製造法(機械的な加圧保持のまま、4時間蒸気養生)」の理論を、コンクリート製品の大量生産に応用すべく事業化が図られたことに始まります。

コンクリートの製法は、普通の鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリート等がありましたが、その中でも「高強度コンクリート製造法=圧力養生コンクリート:プレスコンクリート」は、当時、強度発現の点で出色の技術理論であり、使い方次第では無限の可能性を秘めた技術でした。

コンクリート加圧成形機
コンクリート加圧の実験

昭和38年から40年にかけて、このプレスコンクリート技術を応用した新商品、いわゆる「プレス土木製品」(CTスラブ、FTスラブ、加圧矢板等々、一連の土木商品群)が同社技術陣により相次いで開発・商品化されました。

その後、プレスコンクリートを基盤とする当社技術は「RCコンクリート分野」へと発展し、L型水路、アーチカルバート、ボックスカルバート等、様々な製品が生み出されることになります。

このようなプレスからRCへの潮流は、昭和50年度に至り、「RC製品」が年間生産量で「プレス製品」を凌駕することとなりますが、これからのRC土木製品開発は、CTスラブ等の「プレス土木製品」と併せて「土木製品技術」として当社のジャンルの一角を形成することとなります。

元号が平成になると、コンクリート製品の市場では製品の「大型化」と「システム化」を要求されるようになりました。これに対して、当社技術陣は、加圧矢板の長尺化、カルバート類の2分割構造化、ならびにモジュラーチの実用化で、それぞれの大型化要請に対応し、市場ニーズである技術課題を克服してきました。 

一方システム化は、設計から施工までの一貫したトータル技術による市場ニーズへの対応であり、基本コンセプトが「モジュラーチ工法」、「ビッグボックス」、「可とうボックスカルバート」、「ボックスベアリング横引き工法」等の設計織込み活動で活かされ、用途開発を含めて着実な展開が始まりました。

また近年では、震災地への提供としてのプレキャスト防潮堤の開発、ハイブリッド構造へのチャレンジ、新素材への積極的取り組み等、移りゆく社会情勢やニーズに応えるべき製品開発を継続しています。

当社は、これまでご紹介したようにプレキャストコンクリート製品の歴史の中で、河川分野、道路分野、港湾分野およびリニューアル分野において、社会に貢献してきました。

今後も、プレキャスト製品の優位性を追求しながら、土木製品に関する高度化・大型化・経済性追求・高品質化の実現を目指していくとともに、様々な課題解決に積極的に挑み続けることで、皆様のお役に立ちたいと考えています。