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製品情報

  • ジオウェアカルバート
ジオウェアカルバートの概要

ジオウェアカルバートは、カルバート断面を複数に分割したプレキャストコンクリート部材を用いることにより、大型あるいは大断面のカルバート構築を可能としたものです。ただし、ジオウェアカルバートは、一部の部材が、現場打ちのコンクリートとなる場合があります。

カルバート各部材間の接合は、機械式継手を使用することにより、継手部分がすべて剛接合となります。カルバート部材間のうち、プレキャストコンクリート部材同士の機械式継手は、耐震性能を実物大試験により確認したモルタル充填式鉄筋継手を使用しています。

ジオウェアカルバートの断面形状は、ボックスタイプの「ジオウェアカルバート(ボックスタイプ)、略称 ジオボックス」、頂版部が円弧アーチ形状となる「ジオウェアカルバート(アーチタイプ)、略称 ジオアーチ」があります。

ジオウェアカルバート(ボックスタイプ)概念図
ジオウェアカルバート(アーチタイプ)概念図

ジオウェアカルバート(ボックスタイプ)については、プレキャスト部材のみで構築するオールプレキャストタイプのほか、経済性を考慮して、底版を現場打ちコンクリートとするタイプも可能です。また、ボックスカルバート構造については、1連構造だけでなく、2連構造など、用途や現場状況に応じて様々な製品タイプをご使用いただけます。

ジオウェアカルバートの使用により、耐震性能が求められる大型カルバートのプレキャスト化が可能となり、現場工期の短縮や省人化、品質の確保を図ることができます。道路のアンダーパスを始めとして、道路や鉄道の本線トンネル、水路トンネルなど、幅広い用途での使用により、建設現場の省力化に大きく貢献することが期待できます。

ジオウェアカルバートの特徴
工期短縮

ジオウェアカルバートは、工場で製造された部材を現場に搬入し、組み立てて構造物を構築するため、現場工期の短縮が図れます。また、工場での製造と現場作業を同時進行出来るため、工事全体の工期短縮にも貢献できます。

高性能・高耐久性

ジオウェアカルバートは、品質管理の行き届いた工場(ISO取得工場)で製造することにより、品質が均一で精度の高い、安定した部材を用いて構築できます。また、高強度コンクリートを使用する事で耐久性に優れた高性能な構造物となります。

省人化・安全性の確保

ジオウェアカルバートの組立は熟練工が不要で、反復作業となることから作業効率の向上が期待できます。このため、現場での作業者が少なくなり、同時に行われる作業が減少することから、現場での作業安全度の向上が見込めます。

耐震性

組立式の大型プレキャストカルバートの弱点である部材間継手に、耐震性能を確認した高機能の継手を使用することで、一体成型された現場打ちコンクリートと同等の耐震性能が発揮できます。このため、耐震設計時の設計モデルも一体のラーメン構造として考えることができ、既存の設計照査手法が適用できます。

ジオウェアカルバート(ボックスタイプ)の構造

ジオウェアカルバート(ボックスタイプ)、通称 ジオボックスは、大型ボックスカルバートであり、構造は、プレキャスト頂版部材、自立可能なプレキャスト側壁部材、底版部材(プレキャスト、あるいは現場打ちコンクリート)の3部材により構成されます。

ジオウェアカルバート(ボックスタイプ)は、複数に分割したプレキャストコンクリート部材を組合せて、矩形の内部空間が1つある1連構造タイプと、2つの矩形内部空間が横に並列する2連構造タイプが一般的です。用途や現場状況に応じて、両製品タイプのいずれかをご使用いただけます。

ジオウェアカルバート(ボックスタイプ)の構造 - 1連構造タイプと2連構造タイプ
ジオウェアカルバート(アーチタイプ)の構造

ジオウェアカルバート(アーチタイプ)、通称、ジオアーチは、大断面用に開発した、大型アーチカルバートであり、高土かぶりの条件にも対応可能です。この構造は、アーチ型のプレキャスト頂版部材、自立可能なプレキャスト側壁部材、現場打ちコンクリートによる底版部材の3部材により構成されます。

従来は、頂版部のアーチ部材は、半円型で製造する場合が一般的でした。その場合、頂版部と側壁部の継手位置は、半円のアーチ部材の左右下端位置となります。

ところが、内空幅が5.0m程度以上となると、運搬上の制約から半円型のアーチ部材を運搬することができなくなるため、半円形ではなく1/4円のアーチ部材で製造し、運搬した後、現地で2つの1/4円のアーチ部材を地組みして半円形のアーチ部材としていました。

ジオウェアカルバート(アーチタイプ)における
アーチ部と側壁部の鉄筋継手の位置比較

これに対して、機械式継手を、アーチ部材の曲線部で施工することができれば、内空幅の大きなアーチカルバートも、工場で生産したアーチ部材を運搬することが可能となり、しかも、現地で地組みしなくてよいことから、非常に自由度の高いカルバート断面の設定が可能となります。

そこで、ジオスターでは、日本スプライススリーブ株式会社と共同で、新型の曲線部対応型モルタル充填式鉄筋継手(特許申請中)を開発しました。これにより、アーチ曲線部での機械式継手が可能となり、大断面のアーチカルバートにおいて、従来の方法に比較して、経済的にしかもスピーディな施工が可能となりました。

また、ジオスターでは、この新型継手を使用した実物大の梁部材を用いた繰り返し正負交番曲げ試験を行って、使用する機械式継手の耐震性を確認しています。

モルタル充填式鉄筋継手の実物大耐震性能確認試験

ジオウェアカルバートのボックスタイプおよびアーチタイプに使用している、モルタル充填式鉄筋継手は、耐震性能を確認するため、実物大の梁供試体を用いた繰返し正負交番曲げ試験を実施しています

試験は、従来のモルタル充填式鉄筋継手と、新型の曲線部対応のモルタル充填式鉄筋継手の2種類のモルタル充填式鉄筋継手について実施しています。

この実物大の耐震性能確認試験により、従来型のモルタル充填式鉄筋継手および新型曲線部対応のモルタル充填式鉄筋継手は、両者とも、継手なしの場合と同等の曲げ剛性を有しており、十分な耐震性能があることを確認しています。

負曲げ載荷状況
正曲げ載荷状況
ジオウェアカルバートの施工方法

下図にジオウェアカルバートの施工フローを示します。

ジオウェアカルバートの設置に先立ち、基礎コンクリート工および設置準備工を実施します。基礎コンクリートは、製品据付精度や作業性に影響を与えることから、製品外面から300mm程度張出し、メッシュ筋にて補強することをお勧めしています。

部材は、すべてプレキャストの場合には、底版部材、側壁部材、頂版部材の順に設置し、これを繰り返して設置していきます。その後、部材間継手工としてモルタル充てん工や縦方向連結工を行い、内目地および外目地防水工を実施して施工は完了です。

底版が現場打ちコンクリートの場合には、目地工と同時進行で構築します。

その後は、通常のカルバート工と同様にバランスよく裏込めを盛土し完成です。

ジオウェアカルバート施工フロー
ジオウェアカルバートの技術情報
発表論文

モルタル充填式鉄筋継手を用いたカルバートの継手性能(その1:実験的研究)
下中村圭太、他, 第70回土木学会年次学術講演概要集, pp.337-338, 2015

モルタル充填式鉄筋継手を用いたカルバートの継手性能(その2:解析評価)
藤原慎八、他, 第70回土木学会年次学術講演概要集, pp.339-340, 2015

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