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目次 - PCL工法
PCL工法の概要
PCL工法の構造
PCL工法の特徴
高性能・高耐久性
高い安定性
工期短縮
既存の交通環境への影響が少ない
経済性
PCL工法の施工方法
PCL工法におけるPCL版の据付-専用の据付機
部分薄肉化PCL工法
部分薄肉化PCL工法の概要
実物大載荷実験
PCL工法とPCL協会
PCL工法に関するその他 技術情報
PCL工法(Precast Concrete Lining Method)とは、2分割した円弧状のプレキャストコンクリート版(PCL版と称す)をトンネル縦断方向に連続設置することにより、トンネル内面のライニング(表面処理)を行うトンネルライニング工法であり、この工法に関する設計、製造、施工方法を総称したものをいいます。 PCL工法を、トンネルの内装、仕上げ、補修、および補強を目的として使用することで、掘削したトンネルや既設トンネルからの漏水を防ぎ、換気扇や照明の効率を向上させるとともに、吹付コンクリートや既設覆工の剥離、剥落事故を防止することができます。 PCL版に作用する荷重条件に合わせて設計を行い、構造部材として使用することも可能です。 用途としては、主に道路トンネルに使用されていますが、最近では水路トンネルの補修、補強としても用いられています。
下図は、PCL工法により、トンネルライニングを行う場合のトンネル内の構造を示しています。 PCL工法の基本構造は、トンネル内のスプリングライン(SL)から下の側壁部分は、現場打ちコンクリートによる側壁、その上部のアーチ部に薄肉のプレキャストコンクリート部材のPCL版、そして地山あるいは既設覆工コンクリート表面に防水シートがあり、PCL版と防止シート間のモルタル等の裏込め材で構成されます。
PCL工法で使用するPCL版は、厳密な品質管理の元で工場生産される部材であるため、現場打ちのコンクリートに比較して、高品質なものを提供できます。
PCL版と地山あるいは既設覆工コンクリートとの間に裏込め材を充填するので、PCL版と地山が一体化する効果により、不慮の荷重に対しても高い安定性が期待できます。
PCL版の取付けに専用の据付機械を使用するので、スピーディな施工が可能であり、従来工法に比べて、工期短縮が図れます。
2車線以上の道路トンネルでは、交通開放下での施工(活線施工)が可能であり、既存の交通環境への影響を極力少なくして、トンネルライニングの工事を行うことができます。
現場打ちコンクリートによる覆工補強(従来技術)と比較すると、施工延長30mにおいて、約30%のコスト削減が可能です。
下図に、PCL工法の施工手順を示します。 まず、PCL版の施工に先立ち、防水シートと現場打ちの側壁を施工します。老朽化したトンネル等では、地山から地下水がトンネル表面に出ないように、事前に地山あるいは既設覆工コンクリート表面に、防水シートを施工します。現場打ちの側壁は、スプリングライン(SL)から下の両側面に、現場打ちコンクリートで側壁を施工します。 PCL版は、その両側壁の上に1ピースずつ、専用の据付機械を使用して設置していきます。このとき、天頂部に通しボルトを設置し左右のPCL版を連結する連結工を1ピースごとに行います。PCL版の脚部には、高さと水平の位置調整、トンネル縦断方向のPCL版を連結するための鋼製の冶具があり、PCL版脚部もトンネル縦断方向に連結します。 PCL版の設置が完了した後には、PCL脚部連結工の部分にモルタルを充填する脚部固定工を実施します。その後、PCL版と防水シートの間に、裏込め工として、エアモルタルあるいはモルタルを施工して、PCL工法は完了です。
PCL版の据付には、専用の据付機械を使用して、トンネルの内部に設置します。専用の機械を使用するPCL版の据付方法は、これまで以下の7通りの方法で施工されています。 このうち、現在、主流となっている据付方法は、1のフォークリフト方式と、2のスピンアーム方式です。フォークリフト方式は、汎用性の高いフォークリフトを使用した方法で、スピンアーム方式は、スピンアームというPCL版をつかんで3次元に回転させることのできる冶具を有する油圧ショベルを改良した機械を使用する方法です。
部分薄肉化PCL工法は、国立研究開発法人土木研究所とPCL協会の共同研究のもとに生まれた新しいPCL工法です。 トンネル内部に設定されている建築限界は、既存の覆工コンクリートと空間上の位置関係に余裕が無い場合が多いことから、そのようなトンネルの補修補強を行う場合、建築限界を確保できないことになります。 部分薄肉化PCL工法は、トンネルの補修補強を行うと建築限界を確保できないトンネルにおいて使用するPCL工法であり、建築限界のネックとなる上部左右のアーチ肩部を部分的に薄肉にして建築限界をクリアする工法です。 部分的に薄肉にした部分は、剛性が低下するとともに耐荷能力も低下することから、この部分は、超高強度繊維補強コンクリート UFC の使用や、PCL版背面を鋼板で補強すること等によって耐荷力を確保しています。
部分薄肉化PCL工法では、国立研究開発法人土木研究所の実験施設において、緩み荷重を想定した大型の実物大載荷実験※を実施し、損傷するまで載荷した無垢の覆工コンクリートの耐荷力よりも大きな耐荷力を有することを確認しています。 ※「部分薄肉化PCL版を用いたトンネル補強工法に関する共同研究報告書」 平成18年3月、(独)土木研究所、PCL協会
PCL協会の前身は、昭和56年10月にPCL工法研究会として発足しました。昭和61年9月にPCL協会と名称を改め、現在は、株式会社IHI建材工業、ジオスター株式会社、日本コンクリート工業株式会社、日本サミコン株式会社の4社で構成されています。 PCL工法の最初の実績は、昭和60年奥只見シルバーライン第12号トンネルで補修工法として採用されたことにはじまり、現在、全国で100件(平成27年度集計)となっています。 PCL協会は、PCL工法技術の研鑽に努め、大切な社会基盤構造物であるトンネルの耐久性向上に貢献します。 PCL協会 http://pcl-kyokai.o.oo7.jp/
発表論文 「プレキャスト覆工に関する研究報告書」 昭和58年2月 (社)日本トンネル技術協会(旧/日本道路公団)から 「プレキャスト覆工に関する調査研究」の委託業務 「プレキャスト覆工版実物実験報告書」 昭和59年6月、(社)日本トンネル技術協会 「部分薄肉化PCL版を用いたトンネル補強工法に関する共同研究報告書」 平成18年3月、(独)土木研究所・PCL協会 表彰履歴 第16回国土技術開発賞(平成26年度)入賞 部分薄肉化PCL工法
PCL工法(Precast Concrete Lining Method)とは、2分割した円弧状のプレキャストコンクリート版(PCL版と称す)をトンネル縦断方向に連続設置することにより、トンネル内面のライニング(表面処理)を行うトンネルライニング工法であり、この工法に関する設計、製造、施工方法を総称したものをいいます。
PCL工法を、トンネルの内装、仕上げ、補修、および補強を目的として使用することで、掘削したトンネルや既設トンネルからの漏水を防ぎ、換気扇や照明の効率を向上させるとともに、吹付コンクリートや既設覆工の剥離、剥落事故を防止することができます。
PCL版に作用する荷重条件に合わせて設計を行い、構造部材として使用することも可能です。
用途としては、主に道路トンネルに使用されていますが、最近では水路トンネルの補修、補強としても用いられています。
下図は、PCL工法により、トンネルライニングを行う場合のトンネル内の構造を示しています。
PCL工法の基本構造は、トンネル内のスプリングライン(SL)から下の側壁部分は、現場打ちコンクリートによる側壁、その上部のアーチ部に薄肉のプレキャストコンクリート部材のPCL版、そして地山あるいは既設覆工コンクリート表面に防水シートがあり、PCL版と防止シート間のモルタル等の裏込め材で構成されます。
PCL工法で使用するPCL版は、厳密な品質管理の元で工場生産される部材であるため、現場打ちのコンクリートに比較して、高品質なものを提供できます。
PCL版と地山あるいは既設覆工コンクリートとの間に裏込め材を充填するので、PCL版と地山が一体化する効果により、不慮の荷重に対しても高い安定性が期待できます。
PCL版の取付けに専用の据付機械を使用するので、スピーディな施工が可能であり、従来工法に比べて、工期短縮が図れます。
2車線以上の道路トンネルでは、交通開放下での施工(活線施工)が可能であり、既存の交通環境への影響を極力少なくして、トンネルライニングの工事を行うことができます。
現場打ちコンクリートによる覆工補強(従来技術)と比較すると、施工延長30mにおいて、約30%のコスト削減が可能です。
下図に、PCL工法の施工手順を示します。
まず、PCL版の施工に先立ち、防水シートと現場打ちの側壁を施工します。老朽化したトンネル等では、地山から地下水がトンネル表面に出ないように、事前に地山あるいは既設覆工コンクリート表面に、防水シートを施工します。現場打ちの側壁は、スプリングライン(SL)から下の両側面に、現場打ちコンクリートで側壁を施工します。
PCL版は、その両側壁の上に1ピースずつ、専用の据付機械を使用して設置していきます。このとき、天頂部に通しボルトを設置し左右のPCL版を連結する連結工を1ピースごとに行います。PCL版の脚部には、高さと水平の位置調整、トンネル縦断方向のPCL版を連結するための鋼製の冶具があり、PCL版脚部もトンネル縦断方向に連結します。
PCL版の設置が完了した後には、PCL脚部連結工の部分にモルタルを充填する脚部固定工を実施します。その後、PCL版と防水シートの間に、裏込め工として、エアモルタルあるいはモルタルを施工して、PCL工法は完了です。
PCL版の据付には、専用の据付機械を使用して、トンネルの内部に設置します。専用の機械を使用するPCL版の据付方法は、これまで以下の7通りの方法で施工されています。
このうち、現在、主流となっている据付方法は、1のフォークリフト方式と、2のスピンアーム方式です。フォークリフト方式は、汎用性の高いフォークリフトを使用した方法で、スピンアーム方式は、スピンアームというPCL版をつかんで3次元に回転させることのできる冶具を有する油圧ショベルを改良した機械を使用する方法です。
部分薄肉化PCL工法は、国立研究開発法人土木研究所とPCL協会の共同研究のもとに生まれた新しいPCL工法です。
トンネル内部に設定されている建築限界は、既存の覆工コンクリートと空間上の位置関係に余裕が無い場合が多いことから、そのようなトンネルの補修補強を行う場合、建築限界を確保できないことになります。
部分薄肉化PCL工法は、トンネルの補修補強を行うと建築限界を確保できないトンネルにおいて使用するPCL工法であり、建築限界のネックとなる上部左右のアーチ肩部を部分的に薄肉にして建築限界をクリアする工法です。
部分的に薄肉にした部分は、剛性が低下するとともに耐荷能力も低下することから、この部分は、超高強度繊維補強コンクリート UFC の使用や、PCL版背面を鋼板で補強すること等によって耐荷力を確保しています。
部分薄肉化PCL工法では、国立研究開発法人土木研究所の実験施設において、緩み荷重を想定した大型の実物大載荷実験※を実施し、損傷するまで載荷した無垢の覆工コンクリートの耐荷力よりも大きな耐荷力を有することを確認しています。
※「部分薄肉化PCL版を用いたトンネル補強工法に関する共同研究報告書」
平成18年3月、(独)土木研究所、PCL協会
PCL協会の前身は、昭和56年10月にPCL工法研究会として発足しました。昭和61年9月にPCL協会と名称を改め、現在は、株式会社IHI建材工業、ジオスター株式会社、日本コンクリート工業株式会社、日本サミコン株式会社の4社で構成されています。
PCL工法の最初の実績は、昭和60年奥只見シルバーライン第12号トンネルで補修工法として採用されたことにはじまり、現在、全国で100件(平成27年度集計)となっています。 PCL協会は、PCL工法技術の研鑽に努め、大切な社会基盤構造物であるトンネルの耐久性向上に貢献します。
PCL協会
http://pcl-kyokai.o.oo7.jp/
発表論文
「プレキャスト覆工に関する研究報告書」
昭和58年2月
(社)日本トンネル技術協会(旧/日本道路公団)から
「プレキャスト覆工に関する調査研究」の委託業務
「プレキャスト覆工版実物実験報告書」
昭和59年6月、(社)日本トンネル技術協会
「部分薄肉化PCL版を用いたトンネル補強工法に関する共同研究報告書」
平成18年3月、(独)土木研究所・PCL協会
表彰履歴
第16回国土技術開発賞(平成26年度)入賞
部分薄肉化PCL工法