すいすいSWAN工法｜ジオスター株式会社

すいすいSWAN工法(Segment Wings for an Arched New-bridge Method)は、アーチ橋梁形式を基本とした景観性に優れたオールプレキャスト構造で、財団法人鉄道総研技術研究所のご指導のもと、戸田建設株式会社とジオスター株式会社との共同開発による連続立体高架橋工法です。近年、周辺景観との調和の重要性が指摘される中、本工法を用いることで都市再生の一環として推進されている高架橋化事業に対して、景観に配慮した高架橋構造を提案できます。

すいすいSWAN工法は、橋軸直角方向の剛性を確保した梁・スラブを一体構造としたプレキャスト製の横梁・スラブ部材、柔らかな曲線による景観性と耐火性能を併せ持つプレキャスト製の半割アーチ梁部材、アーチ部材を支持する柱であるプレキャスト製のスタンド部材、により構成されます。上部工を支持する柱であるスタンド部材は、現場打ちコンクリートによる地中梁と一体化します。

すいすいSWAN工法は工場で製造されたプレキャスト部材を現場に搬入し、組み立てて構造物を構築するため、現場工期の短縮が図れます。また、工場での製造と基礎や底版梁などの現場作業を同時進行出来るため、工事全体の工期短縮にも貢献できます。

すいすいSWAN工法は、品質管理の行き届いた工場(ISO取得工場)で製造することにより、品質が均一で精度の高い、安定した部材を用いて構築できます。また、高強度コンクリートを使用する事で耐久性に優れた高性能な構造物となります。

すいすいSWAN工法は開腹式アーチ型の高架橋で、意匠性に優れた美しい景観性を有しています。

下図にすいすいSWAN工法の施工手順を示します。

プレキャスト部材の設置に先立ち、基礎工および現場打ちコンクリートによる地中梁を施工します。地中梁とスタンド部材との接合には、モルタル充填式継手を用いることから、地中梁から露出する鉄筋位置は、高架橋構築の基準となるスタンド部材の架設精度に大きな影響を与えることになります。そこで、位置決め用のテンプレートなどを使用し、設計図に示された正しい位置に配置する必要があります。

続いて、スタンド部材を設置します。スタンド部材を正しい位置に架設するため、転倒防止治具や高さ調整ボルト、位置調整ボルトなどを配置し、トランシット等を用いて部材の位置や垂直度を確認しながら設置を行います。その後、地中梁とスタンド部材間のモルタル充てん継手にモルタル充填を行います。

半割アーチ梁部材は、スタンド部材上に架設しますが、施工中の部材の傾きや転倒を防止し、ジャッキを用いて垂直度を調整するため、仮設架台を使用します。半割アーチ梁部材設置後、半割アーチ梁部材とスタンド部材間のモルタル充てん継手のモルタル充填、半割アーチ梁部材同士のループ継手のコンクリート打設を実施します。

半割アーチ梁部材設置後、継手部の養生を行った後、横梁・スラブ部材を設置します。横梁・スラブ部材の設置後、部材の傾きや転倒防止するため、仮設治具などを用いて固定する必要があります。その後、横梁・スラブ部材と半割アーチ梁部材間のモルタル充てん継手のモルタル充填、横梁・スラブ部材同士のループ継手のコンクリート打設を行います。

最後に勾配コンクリート・高欄などの附帯工を施工し、完了となります。

プレキャストアーチ構造を適用した鉄道ラーメン高架橋の設計・施工マニュアル
鉄道総合技術研究所, 2008.2

プレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」の開発
土木学会年次論文集, 浅野均・請川誠・小林修・佐藤郁・坂下賢二・宇田川徳彦・辻利幸,
Vol.61, 6-183, pp.365～366, 2006

プレキャストアーチ構造を採用した鉄道高架橋の施工について
コンクリート工学, 上田清弘・安東嵩容・永尾拓洋, Vol.50, No.7, pp615～620, 2012

H18年3月、高架橋幅内という施工条件での、すいすいSWAN工法の組立性能を確認するため、延長30m、幅10m、高さ7mの規模による実物大製品の組立て試験を実施しました。
試験の結果、高架橋幅内においても、短時間かつ容易に施工でき、従来の現場打ち高架橋工法の1/2の工期で施工できることを確認しました。また、プレキャスト部材の形状寸法も許容値を十分満足しており、有害なねじれ等も発生せず、組立後の出来形は、目標とした鉄道ラーメン高架橋の許容値を十分に満足することを確認しました。