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  • プレキャスト式雨水地下貯留施設
プレキャスト式雨水地下貯留施設の概要

近年、都市部において、河川流域の都市化に伴う雨水流出量の増大により、河川への放流量を制限しなければならない等の問題が生じています。また、初期雨水や合流式下水道の越流水による河川や河床の水質汚濁の問題も大きくなっております。

プレキャスト式雨水地下貯留施設は、これらの問題を解消するために、公的機関と共同研究開発された耐震性能に優れた地下式雨水貯留施設で、その上は公園、運動場、駐車場など広く利用することができます。さらに最近では、地下水や湧水の保全回復を図るための雨水貯留浸透施設として、また非常用水確保などの多目的施設としても活用されています。

プレキャスト式雨水地下貯留施設の構造

プレキャスト式雨水地下貯留施設の構造については、プレキャスト部材の形状によってスタンド型タイプ、およびボックス型タイプの2種類に区別されます。

スタンド型タイプは、L型形状の端部ブロックと凸型形状の中間ブロック、頂版スラブ、底版現場打ち部および端壁の組合せで構成されます。スタンド型タイプの特徴は、各ブロックの重量が軽量のため施工性に優れること、スパン幅を広くできるため経済的なことです。

ボックス型タイプは、ボックスカルバート形状の端部ブロックと、中間ブロック、頂版スラブ、底版現場打ち部、および端壁の組合せで構成されます。ボックス型タイプの特徴は、端部ブロックがラーメン構造であるため構造安定性が高いこと、施設上部の地盤高が一定でなく土被りが一様でない場合にも適していること等です。

スタンド型タイプ概要図
ボックス型タイプ概要図
プレキャスト式雨水地下貯留施設の特徴

工期短縮

プレキャスト式雨水地下貯留施設は、工場で製造された部材を現場に搬入し、組み立てて構造物を構築するため、現場工期の短縮が図れます。また、工場での製造と現場作業を同時進行出来るため、工事全体の工期短縮にも貢献できます。

高性能・高耐久性

プレキャスト式雨水地下貯留施設は、品質管理の行き届いた工場(ISO取得工場)で製造することにより、品質が均一で精度の高い、安定した部材を用いて構築できます。また、高強度コンクリートを使用する事で耐久性に優れた高性能な構造物となります。

省人化・安全性の確保

プレキャスト式雨水地下貯留施設の組立は、熟練工が不要で、反復作業となることから作業効率の向上が期待できます。このため、現場での作業者が少なくなり、同時に行われる作業が減少することから、現場での作業安全度の向上が見込めます。

地下式・空間貯留型

プレキャスト式雨水地下貯留施設は地下式であることから、土地の有効活用が図れ、設備の上部は駐車場施設や運動場、公園など広く活用されております。また、オープン式の遊水地などと比較して雑草や害虫の発生が少なく、内部に人が入れる空間貯留型であることから、点検、清掃などの維持管理が容易に行えます。

プレキャスト式地下貯留施設の施工方法

下図にプレキャスト式地下貯留施設の施工フローを示します。

全体の施工フロー
敷設工の作業フロー

プレキャスト式地下貯留施設の設置に先立ち、仮設土留め工・掘削工を行い、基礎コンクリート工および設置準備工を実施します。掘削幅は施工性や安全性などを考慮して決定しますが、通常施設横方向で0.7m、施設縦方向で1.0m以上の余裕幅を確保します。基礎コンクリートは据付精度を確保するため、均一になるように仕上げます。

部材の据付けは、通常搬入路の奥側から順次行うこととし、クレーン設置位置から作業半径内の本体ブロックと頂版スラブを据付け、クレーン位置を移動しながら繰り返して設置していきます。その後、部材間の連結工を行い、目地工を実施します。底版の場所打ちコンクリートを打設し、付帯設備やスクリーンオリフィスなどを設置します。その後、端壁を設置し流入管・放流間の施工、点検孔や換気孔を施工し、周囲を埋め戻して完成になります。

下記に施工ステップ毎の写真を紹介します。

①仮設工
②定規工
③製品の搬入
④製品の据付及び縦連結工
⑤スラブ部材据付
⑥底版部の配筋
⑦コンクリート打設
⑧間詰めコンクリート打設
⑨防水シート工
⑩完成・公園供用
プレキャスト式雨水地下貯留施設に関するその他 技術情報

技術資料

プレキャスト式 雨水地下貯留システムの 多目的利用に関する 共同研究報告書
(公財)日本下水道新技術機構

プレキャスト式雨水地下貯留施設 技術マニュアル 2011年3月改訂
(公財)日本下水道新技術機構